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「食体験を通じて、生きる力を育む」

9月1日
読了時間: 4分

埼玉県保育士会主催 研修

8 月 25 日、彩の国すこやかプラザで開催された「保育所の食事を考える研修会」に講師として参加しました。当日は、0 歳から小学校入学までの子どもたちと日々向き合っている、保育士さんや栄養士さんなど、150 名を超える方々が参加されました。 午前中は、4 つの地域から食育活動の事例発表。 午後は私から「食体験を通じて、生きる力を育む」というテーマでお話をさせていただきました。


「食体験を通して、生きる力を育む」というスライドが投影されたスクリーンを、会場に着席した保育士・栄養士たちが見ている研修会の様子

4 つの地域の実践から感じたこと

事例発表を聞いたあと、①心に残った子どもたちの姿 ②先生方が大切にしていたこと ③次の一歩に必要なこと この 3 つの視点から、講評をさせていただきました。

どの地域も「栄養」だけではなく、旬、地産地消、食品ロス、そして何より「楽しく食べること」を大切にされてました。

例えば、 野菜を育てるときには、子どもたちが話し合って「水やり当番」を決める。

給食の食材の下ごしらえをみんなで行い、給食への興味を引き出す。

食の細い子には、少量・普通量から自分で選べるようにする。

一つひとつは小さな工夫かもしれません。でも、その積み重ねが、子どもたちの「やってみたい」「食べてみたい」につながっているのだと感じました。


講演を行う市原るり子とスクリーンに映るスライド


写真から伝わってきた、子どもたちの「ワクワク」

事例発表には、たくさんの子どもたちの笑顔がありました。

ランチルームやテラスなど、いつもの食事に少し変化をつけることで、子どもたちのワクワクする気持ちが伝わってきます。 包丁を持つときの、真剣で少し緊張した表情。

トウモロコシの皮をむき、黄色い粒が顔を出した瞬間の嬉しそうな顔。子どもたちの楽しそうな様子が伝わります。



給食を食べる子どもたちと、食育の説明をする栄養士の様子

「子どもの声」を大切にする

先生方が大切にされていたことにも、共通点がありました。

それは、子どもたちの「なぜ?」「どうして?」という小さな疑問を大切にすること。

たとえば、 「味噌汁とスープの違いはなに?」 そんな子どもの素朴な疑問にも、丁寧に向き合う。

そして、食べ物への感謝の気持ちを育てる。 どの事例からも、先生方が「子どもたちの声を聴く」ことを大切にされているのが伝わってきました。



「食体験を通じて、生きる力を育む」

午後からは講演。 テーマは「食体験を通じて、生きる力を育む」

食体験は、身体をつくるだけではありません。心や、人との関わり、自分で考えて行動する力にもつながっていく。

そんなことを、いくつかの研究結果や実際の事例を交えながらお伝えしました。


みんなで給食を食べている園児たち


手づかみ食べから育つもの

手づかみ食べの事例では、手で触れ、匂いを感じ、自分のペースで食べる体験が、野菜への苦手意識を持ちにくくすること。 そして、自分で食べるという経験が、自主性や自立性にもつながることをお話ししました。



野菜の販売体験から育つもの

野菜を育てるだけでなく、「販売する」という体験。 そこには、仲間と協力する力、どうしたら売れるかを考える工夫、そして「自分たちでできた!」という達成感があります。こうした体験が、チーム力や自己肯定感を育てていきます。


植物に水やりをしている園児


地域で一緒に食べること

地域のみんなで食事をする「地域の居場所」。 そこでは、子どもから高齢者まで、多世代の人が一緒に食卓を囲みます。食事を通した交流は、世代を超えたつながりを生み、普段から町で声を掛け合うような、地域の見守りにもつながっていきます。



みんなでワーク

食事は味覚だけでなく嗅覚も大切です。 みなさんに「匂いあて」をしていただきました。

そして、今日の事例発表や講演を聞いて 「これから自分も取り組んでみたいこと」をグループでシェア。

会場のあちこちから、楽しそうな声が聞こえてきました。

研修の最後は 「共振・共鳴ワーク」。 グループで輪になり、片足で立って「かえるの歌」をみんなで合唱しました。

一緒に声を出し、呼吸を合わせ、笑い合う。 「共振・共鳴する」ということは、瞬時に心を一つにすることができる。

そんな体験を、みなさんと一緒に感じていただきました。



食体験は子どもたちの未来をつくる

食卓は単に栄養をとる場所ではありません。毎日 3 食、365 日。年間で約 1,095 回。

その一回一回が、子どもたちにとって大切な「体験の場」です。

食べること。 触れること。 匂いを感じること。 誰かと一緒に食べること。 「おいしいね」と笑い合うこと。

そんな毎日の小さな体験の積み重ねが、子どもたちの身体だけでなく、心や人とつながる力を育てています。

先生方が毎日、子どもたちと一緒に積み重ねている「食の体験」は、子どもたちの未来の力になっていきます。

子どもたちの健やかな成長を願い、日々向き合っておられる先生方。

その姿に、私自身もたくさんの学びと勇気をいただきました。



今回、このような素晴らしいご縁をいただけたことに、心から感謝いたします。


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